歯周組織再生療法
Regeneration- 船越歯科医院 ホーム
- 歯周組織再生療法
歯周組織再生療法
歯周病が進行すると、炎症によって歯を支える骨が破壊されるようになります。一度破壊された骨は自然に元に戻ることはなく、症状が悪化すると歯を支えられなくなり、最悪の場合には抜け落ちてしまうおそれがあるのです。
当院では、歯がぐらつくほど骨が破壊されている場合には、歯周組織再生療法を行ないます。歯周組織再生療法は、歯を支える骨などの歯周組織の再生を促し、歯が抜け落ちるのを防ぐ治療法です。
歯周組織再生療法には大きく分けて3種類あり、歯周組織の再生を促す効果をもつ薬剤を塗布する方法と、人工膜を使って組織の再生を促す方法、骨を移植する方法があります。近年では外科処置による体への負担や感染のリスクが少ないことから、薬剤を塗布する方法が主流になっています。
エムドゲインゲルによる再生療法
エムドゲインゲルは、豚の歯胚から抽出されたエナメル基質タンパク質を主成分とした薬剤です。これを歯周病によって破壊された歯の周囲の骨に塗布すると、エナメル基質タンパク質によって歯が生えるときに近い環境が再現され、歯周組織の再生が促されます。
当院では歯周組織を失ったさまざまなケースに対し、エムドゲインゲルによる再生療法を行ってきた経験がありますので、「歯がぐらついて不安」という方はぜひご相談ください。
エムドゲインゲル(ブタ歯胚組織使用歯周組織再生用材料) 医療機器承認番号:21300BZG00049000
エムドゲインゲルで得られる効果
歯をぐらついたまま放置すると、抜け落ちてしまうリスクが高いですが、エムドゲインゲルによる再生療法で歯を支える骨が再生されると、歯のぐらつきが改善され、歯の寿命を延ばすことができます。ただし、すべてのケースで効果を得られるわけではなく、部分的に骨が吸収しているケースにのみ有効です。歯の周囲のすべての骨が水平的に破壊されているような場合には適していません。
エムドゲインゲルによる再生療法の流れ
-
01
歯周ポケットの深さを測る
歯周病の原因である歯垢や歯石を初期治療で取り除いたあと、歯と歯肉のすき間の歯周ポケットの深さを測定します。
歯周ポケットの深さが6mm以上で、歯の周囲の骨がレントゲン写真で4mm以上垂直的に破壊されていることが確認できる場合は、エムドゲインゲルによる再生療法で対応します。 -
02
歯肉を切開し、歯根表面の汚れを取り除く
骨を再生させたい部分に局所麻酔をかけ、歯肉を切開します。歯肉を剥離して歯根を露出させたら表面の歯垢や歯石をきれいに取り除きます。
-
03
エムドゲインゲルを塗布する
歯根の表面を覆うようにエムドゲインゲルを塗布します。歯肉を戻して縫合したら手術は終了です。また、数日後に抜糸します。
-
04
歯周組織が再生されるのを待つ
手術部位を清潔に保ち、刺激を与えないように気をつけます。効果を得られるまでの期間には個人差がありますが、数ヵ月で新しい骨と歯根膜が再生されます。
歯周病治療の症例
再生療法
術前
メインテナンス時
年齢 | 32歳 |
---|---|
性別 | 女性 |
治療期間・回数 | 1回(歯周基本治療、被せ物の治療は別途) |
---|---|
費用 | 歯周組織再生誘導エムドゲイン 220,000円 骨補填材 66,000円 (歯周基本治療、被せ物の治療は別途) |
治療内容の詳細 | 歯周再生療法(エムドゲイン + 骨補填材) | ||
---|---|---|---|
治療におけるリスク・副作用 | 歯周外科治療後、稀に術後疼痛や歯肉退縮の症状が発現することがあります。歯肉が退縮すると、審美障害あるいは知覚過敏が発現することがあります。 歯周組織が完全に元通りになるとは限りません。 なお、エムドゲインの副作用は現時点では報告がございません。 |
術中(歯石除去前)
術中(歯石除去後)
術中(エムドゲイン+骨補填材充填後)
再生療法
初診時
この後右下の親知らずは抜歯を行なった。
術後2年経過時
歯周病治療、再生療法およびメインテナンスによって正常な歯周組織が保たれている。
年齢 | 39歳 |
---|---|
性別 | 女性 |
治療期間・回数 | 1回(歯周基本治療、被せ物の治療は別途) |
---|---|
費用 | 220,000円(歯周基本治療、被せ物の治療は別途) |
治療内容の詳細 | 歯周再生療法(エムドゲイン単体使用) | ||
---|---|---|---|
治療におけるリスク・副作用 | 歯周外科治療後、稀に術後疼痛や歯肉退縮の症状が発現することがあります。歯肉が退縮すると、審美障害あるいは知覚過敏が発現することがあります。 歯周組織が完全に元通りになるとは限りません。 なお、エムドゲインの副作用は現時点では報告がございません。 |
術中(歯石除去後)
右下6近心根に深い骨縁下ポケットを認めた。
再生療法
術前
術後25年経過時
長期的な予後を考慮して左上67連冠の補綴物を装着している。現在でも健康な歯周組織が保たれている。
年齢 | 44歳 |
---|---|
性別 | 女性 |
治療期間・回数 | 1回(歯周基本治療、被せ物の治療は別途) |
---|---|
費用 | 220,000円(歯周基本治療、被せ物の治療は別途) |
治療内容の詳細 | 歯周再生療法(エムドゲイン単体使用) | ||
---|---|---|---|
治療におけるリスク・副作用 | 歯周外科治療後、稀に術後疼痛や歯肉退縮の症状が発現することがあります。歯肉が退縮すると、審美障害あるいは知覚過敏が発現することがあります。 歯周組織が完全に元通りになるとは限りません。 なお、エムドゲインの副作用は現時点では報告がございません。 |
術前
左上7の口蓋側中央から遠心にかけて6mm以上の歯周ポケット深さを認めた。
術後1年経過時
再生療法によって歯周ポケット深さが2mmまで改善された。
術中
歯肉を開くと左上7に大きな骨吸収を認めた。
●歯周病治療/歯周組織再生治療/歯周外科治療にともなう一般的なリスク・副作用
- ・内容によっては自費(保険適用外)となり、保険診療よりも高額になります。詳細は歯科医師にご確認ください。
- ・歯周病の基本治療で改善しない場合に行なう歯周外科治療や歯周組織再生療法では、歯肉を切開するため、腫れや痛みをともなうことがあります。
- ・破壊された歯周組織は元に戻せないので、治療後歯肉が下がることがあります。
- ・治療によって歯肉が引き締まってくるため、被せ物と歯肉の段差が目立つことがあります。
●エムドゲインゲル(ブタ歯胚組織使用歯周組織再生用材料)を用いた治療にともなう一般的なリスク・副作用
- ・薬機法(医薬品医療機器等法)において承認された医薬品であり、中等度または重度の歯周炎の歯周外科手術の際に、露出された歯根面上に補助的に局所適用します。
- ・自費(保険適用外)での診療となり、保険診療よりも高額になります。
- ・歯や骨の状態や位置によっては、手術できないことがあります。
- ・外科手術が必要なため、腫れや痛みをともなうことがあります。
- ・外科手術が必要なため出血、神経麻痺、血管損傷、術後の腫れやあざを発症する可能性があります。
- ・歯肉が引き締まってくるため、被せ物と歯肉との段差が目立つことがあります。
- ・糖尿病、心筋梗塞、脳梗塞などが進んでいる方、がんによる放射線治療を受けている方、ステロイド剤を使った治療を受けている方、妊婦や授乳中の方などの安全性は確立していません。
- ・喫煙される方の場合、血行が悪くなるため、治癒の遅れや治療効果の低下を招くことがあります。
- ・糖尿病の方や喫煙される方でエムドゲインによる治療をご希望の方は、歯科医師とご相談いただき、状況によっては治療できない場合があります。